Hotel les Hirondelles

第四日 : 7月24日(月) スイスを越えてアルプスへ移動

その前に予想外に気に入ったイルハーゼンの宿"Hotel les Hirondelles"に付いてもう少し触れておきたい。この"Hirondelles"とは「ツバメ」という意味。脇についているプールでちょっとしたリゾート気分も味わえ、エアコン付きで暑くても寝苦しくない。朝食は食べた人数分しか請求されない。これで一泊2人で70ユーロもしないというのは本当にお得である。ここまで毎日宿を替えて、その都度荷物を開け閉めしていたことを考えれば､ここを拠点に数日滞在してアルザスを回っても良かったなと思った。

シャモニーの街を散策

スイスへと入国

まずはホテルにチェック-イン。"Hotel HAMEAU ALBERT 1ER"という4つ星ホテルだ。部屋も広くてジャグジーも付いていて、お値段なりのクオリティが期待できる。夕食と情報収集のために街に散策に行くと、氷河がもう目の前に迫ってきているではないか。数年前にマッターホルンのふもとのツェルマットに行ったことがあるが､そこと比べるとスイスのロッジ的な建物よりも石造りの建物が多くて、やはりフレンチ色が強い。日本からの観光客は少ないのだろうと思いつつ街のインフォメーションに行ったら、日本人専用のカウンターがあったのでビックリ。日本語ペラペラのガイドさんが、モンブランの見に行き方やハイキングコースのことを親切に教えてくれた。

一般道(農道？)を行く

その後高速道路から降りて、ようやくフランス国境の山越えの所にまでやって来た。山沿いの急な坂道、しかもガードレールがあまりしっかりしていないような怖い道を登ると、ふもとの街がとても小さくきれいに見える。ここはもうアルプスの懐の中なので､もう少し行けば峠を越えて目的地に着けるはず。つづら折を登って行くと、目の前に雪を抱いた高い山々が現れる。カーブには危険防止のミラーも無いので慎重に運転を続ける。すると「峠の茶屋」のような所を通過。更に少し行くと国境の検問所があった。またフランスに戻って来た訳だ。でも今回はフリー・パス。アメリカと同じで去るものは追わないのがスイスのポリシーなのだろうか。それから更に下ってアルプスの美しい山並みを見ながら、シャモニーに到着したころにはもう夕方になっていた。最初のカーナビの予定到着時刻から3時間以上も遅くなったのは、あの高速道路の工事のせいだった。

昨夜の三ツ星フレンチを締めくくりとして､この旅行の序盤戦である「アルザス編」は終わろうとしていた。今日は移動日でスイスを越えたその先のシャモニーに移動し､中盤の「フレンチ・アルプス編」へと突入だ。

さてここアルザスからシャモニーへは、バーゼル、ベルンといったスイスの都市を通過して、その先の峠を越える約350kmの行程である。ブドウ畑の広がるアルザスの大地に別れを告げて、高速道路で一路スイス国境へと向かう。バーゼルに差し掛かる所で国境検問所で、パスポートを見せると同時にフロントガラスの内側にステッカーを貼られた。スイス国内での高速料金を一括して徴収されたのだ。発効日から一年間有効なのだろうが、40スイス・フランということで約26ユーロ、日本円では4,000円近くにもなる。年間では安いのだろうが今年もう二度と来ることは無いであろう観光客にはお高い出費である。

更に悪いことにスイスに入った途端高速道路が渋滞がちになり､まだ先が長いのに途中で工事のため一般道に下ろされてしまった。今日は平日なので大型トラックも沢山走っているが、それらが全て農道のような道に迂回させられたので大渋滞だ。周りはのどかな牧草地が広がり、山や丘も多くて立体感に溢れている。しばらくのんびりとしたスイスの景色を見ながらゆっくり車を走らせることになった。2時間ほどで農道から国道と思しき幹線道路に出るが、更に幾つもの街や山を越えて行く。そうこうしているうちにようやく高速道路に戻った頃にはもう夕方近くになっていた。

峠を越えてシャモニーに到着

さて夕食だ。さすがに毎日フレンチだと胃の方もちょっとお休みが必要になってくる。今日は「休肝日」ならぬ「休フレンチ日」ということで、シャモニーの街の中心にある中華料理屋"Chez Yang"で軽く食事を済ます。たまに醤油の効いたアジアン・テイストを食べるとやはり一安心という感じである。連日の大量のフレンチで胃が大きくなったせいか､二人で三品頼んで全部食べたのに、何だかまだお腹に入りそうな雰囲気。フランス料理恐るべしといった所か。

翌朝は早朝からモンブランを望む展望台に行くので､晴天になることを願いつつ早めに休んだ。今日は運転も疲れたし良く眠れそうだ。

"休フレンチ日"