第一日 ： PROMS

ロンドンへの旅行 200４年9月10日(金)〜12日(日) その1

ロンドンの夏の風物詩「PROMS」。その最後の夜のお祭り「The Last Night of the PROMS」を何とか体験したかったオラニエ公は、金曜日の午後会社を休んで夫人と共にロンドンへ向かった。慌てていたせいか、今回はデジカメを持って行くのを忘れてしまった。ということで、この旅行記は生写真がないことをご了承ください。

皆さんは「PROMS」というをご存知だろうか。毎年夏のロンドンでBBC主催で行なわれている一連のコンサートのことである。クラシック音楽のシーズンは大体6月から8月までがオフで、その間にはちょっと気軽に聴きに行けるコンサートがよく開催される。例えばここアムステルダムのコンセルトヘボウでも、レギュラーシーズンは6月に終わり、そこから8月一杯まで｢Robeco｣という会社の冠スポンサーで、｢Zommer Concerten｣つまりはサマーコンサートが開かれ、世界各地から一流+その次のレベルのオーケストラや演奏家がやって来る。「PROMS」も同様で、由緒あるロイヤル･アルバート・ホールで毎日国内外の演奏家によるコンサートが繰り広げられる。例えば日本のNHK交響楽団も確か何年か前に｢Robeco｣と｢PROMS｣の両方に参加していたと思う。一般にこれらのチケットは通常のシーズンよりも安く手に入り、レギュラーシーズンほどフォーマルな格好をして行かなくても大丈夫である。
今年のPROMSは7月16日(金)に始まり、9月11日(土)に終わる。この最終日がかの有名な「The Last Night of the PROMS」で、オラニエ公は野外コンサートに参加した。この話は第二日目に紹介する。

会社を午前中で切り上げて一旦自宅に帰り、そこからスキポール空港に行ってヒースロー空港に向かう。普段の出張時には乗らない昼間の時間帯のフライトなので、それ程込んでいない。一時間の時差を今日は「得する」ことになる。

ロイヤル・アルバート・ホールへ

今回のホテルはピカデリー・ラインのEarl's Court駅近くの4つ星ホテル｢Hogarth Hotel｣ である。Heathrow空港Terminal4からひたすら地下鉄に乗り続けてようやく到着。

今日は特に予定を立てていなかったので、ホテル近くのケンジントン界隈を散歩する事にする。PROMSの行なわれているRoyal Albert Hallを見るだけ見てみようと思い、通りを北上してその近くまで来ると、長ーい行列を発見。よく見るとこの行列はまさにRoyal Albert Hallに続いている。何と今夜のPROMSの当日券を待つ行列であることが判明した。長さはどう見ても200m近くもありそうだ。明日はPROMSとは言いながら野外コンサートなので、この由緒あるホールに入る機会は無い。ということで今夜のコンサート(何をやるかわからないが)に、チャレンジすることに決定した。

後から判明したのだが、長い行列には二つあってこちらは「アリーナ席」(1階)、もう一本は「バルコニー席」(上階)といういずれも立ち見の席だった。約1時間経って開門したせいか列が動き始め、オラニエ公は幸運にも入場チケットを手に入れることが出来た。ホールの中は外から見るのと同じ円形のドーム状で、真ん中の平間(アリーナ)の周りに客席が階段状に連なり、3層構造の上のほうがバルコニーになっている。コンサート会場というと全体が四角いというイメージだが、ここは全体が丸くてかつ上がドームのキューポラのようになっていてユニークである。「アリーナ席」ということで何の椅子も無い床に座って待っていたが、開演間近になって｢お客様は立ってください。｣との案内があり、全員が立ち上がる。更に人が増えたせいかかなり人口密度は高く、あまり自由には動き回れない。そしてコンサートは始まった。

PROMS73

前半は全く知らない曲ばかり。クラシック・コンサートの立ち見というのも初めて。この前にオペラを立ち見したときは前に手すりがあったけれども、今日はそれも無い。これでは眠ってしまうことすら出来ないぞ。周りの人も座っている訳ではないので、心なしか音楽を聴きながらもみんな体が不安定。一曲だけ聴いた後に人ごみを掻き分けて帰ってしまった人もいた。でも途中から現れたロシア出身のソプラノ歌手Anna Netrebkoの歌声のお陰か、オラニエ公もこの状況にも少しずつ慣れてきた。知らない曲を聴くときには、歌がついていたほうがたとえ意味がわからなくても飽きずに聴けるような気がするのはオラニエ公だけだろうか。できれば合唱の方がもっと良いのだが、今日は独唱のみ。でもAnnaは若くて張りのある声を聞かせてくれた。今はまだ「売り出し中」なのだろうか。
後半はオラニエ公が大好きなロシア音楽。この会場は比較的よく反響するようで、第二楽章のピアノ強打、第4楽章のクライマックスへ向けての盛り上がりを十分堪能する。 あの終わり方だから、比較的下手な演奏でも最後には何となくよく聞こえる曲だ。が、BBCフィルハーモニックはそこそこのまとまった演奏をしていたと思う。

終演後記念に「PROMS」のグッズを探したが、欲しいもの(カレンダー)が丁度品切れで残念。